あっちこっちで、遺言や相続の仕事をしていて、よく聞く言葉のひとつに、”私はいいから(いらない)”というのがあります。

 例えば、ご主人が遺言書をつくる気持ちになってくれたというので、ご夫婦で具体的な手順等を聞きたいというお話があったとします。

 家庭や財産の状況をお聞きする内に、先にも書きましたが、お子さんのいないご夫婦で、不動産をご夫婦で共有名義にしている場合など、私の方から、ご主人と同時に奥様にも遺言書の作成をお奨めする時があります。

 なぜなら、確かに統計上は女性の方が長生きになっているようですが、現実、奥様よりもご主人の方が長生き、裏返せば、奥様の方が先にバイバイするケースもあり、奥様の相続手続きのために、遺ったご主人は奥様の親族と遺産分割協議をする必要があるからです。

 こんな場合に備えて、夫は妻に全部、妻は夫に全部という内容の遺言書を、それぞれに別々に作ることがあります。(夫婦相互遺言)

 この時に注意しなければいけないのは、夫婦共同遺言、夫婦が共同で遺言書を作ることは出来ないということです(共同遺言の禁止)。

 どんなに仲の良い夫婦であっても、あくまでも別々に、計2通の遺言書を同時につくることになります。 

---

 ...で、こんな時に言われることが多いのが、奥様の方から、「私のは良いですから」という言葉です。

 私としては、奥様のお気持ちも解るような気もしますが、一応念のために、お奨めすることもありますが、お気を悪くされませんようにお願いします。

[てるてる行政書士事務所]