先日、書店の遺言や相続のコーナーで、仲の良さそうな老夫婦が遺言・相続の本を熱心にご覧になっている姿を見かけました。
このご夫婦をみて思い出したのが、「共同遺言の禁止」ってやつです。
なんか、仲の良さそうなご夫婦を見ただけで、何とか何とかの禁止~ってのが浮かんでくる、自分のへそ曲がりにイヤな感じもするのですが、実は過去に一度だけですが、この「共同遺言の禁止」ってのに、ひっかかった事があったからです。
ある日、ある時、自筆証書で書かれた遺言書を拝見させていただいたところ、一枚の紙に夫婦が連名で署名押印されていました。
お話を聞くと、「仲が良かったものですから~」とかのお話で、教科書にでも書かれていそうな典型例です。
民法975条には、「遺言者は、二人以上の者が同一の証書でこれをすることが出来ない」とあり、遺言は、必ず一人が一つの証書でしなければいけない、としていますので、拝見させていただいた遺言書は「無効」であり、この遺言書に基づいた手続きは、出来ませんでした。
夫婦が一生をかけて築きあげた財産をどうするかの最終の意思表示が、遺言書の役目の一つですから、夫婦が一緒に遺言書を書こうとするのも、無理のないことのようにも思います。
なかには、オレが一人で頑張ったんで、女房は関係ないとか思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはさておきです。
このように、共同で書かれた自筆証書遺言は”無効”ですが、一見共同で書かれているようでも、共同遺言の禁止に当たらない事例もありますので、お一人で悩まず、当事務所やお近くの行政書士、家庭裁判所等にお尋ね下さい。