子供いないご夫婦で、特にどんな場合に、遺言書を作ったら良いのか?言った質問を頂くことがあります。

 どんな場合に、作った方が良いのか??、様々な場合が想定されますが、一番に思うのが、ご自宅が夫婦の共有名義になっている場合です。

  待望のマイホームを購入する際、全額を35年ローンにするより、いくらかを独身時代の貯金を購入資金の一部にあて、その額に応じた持分を奥様の名義にする方は多いと思います。

 不動産の共有割合が、例えば夫Aが持分10分の9・妻持分10分の1...とかになっている場合です。

ここで、よく聞くのが、夫婦が協力し合って築いた財産なのに...自分の共有持分もあるのに、残されたは配偶者の財産になるのが当然でしょう!って...。

 ところが、夫婦の一方に不幸があったら、お子さんがいない場合の相続割合は、配偶者が3分の2・尊属が3分の1、尊属がいなければ配偶者が4分の3・兄弟が4分の1となりますから、配偶者の親族と遺産分割協議をして合意をしてもらわない限り、残った配偶者一人の名義にすることは出来ません。

 兄弟等から、法定相続分を主張された場合、最悪、夢のマイホームを手放さざるを得ない事にもなりかねません。(..あくまでも、極端な場合です)

 こんな時、遺言で、「妻に全部相続させる」とあれば、尊属の遺留分の話はあるにせよ、共有名義の不動産を妻一人の名義にすることが出来ます。

 さらに、配偶者の尊属が他界していて、配偶者の兄弟が生存していても、兄弟には遺留分がありませんから、遺留分の問題もありません。

 遺言があれば、相続に関する紛争を完全に防げるという事ではありませんが、親兄弟からの援助無く、夫婦の協力で築いた財産であれば、事後の配偶者の生活等を考慮して、遺言公正証書の作成をされることを、お奨めします。

[てるてる行政書士事務所]